« 六【一年目】 ベルギー到着 | トップページ | 八 北京の彼 »

2017年4月26日 (水)

七 入試まで

 八月下旬にブリュッセルに到着してから、九月中旬の入試までに、少しずつ現地に慣れ、いろんな人たちと出会った。頼りになる先輩や大使館の方々、これから師事する先生たち、そして同級生。一緒に暮らすことになる大家さん一家。

 ブリュッセルは小さい街だったが、私の世界は一気に広がる。初めての外国暮らしなのに、周囲の人々に恵まれてちっとも不安には感じなかった。寂しかったけれど。そうそう、寂しさはあった。何度も帰りたくなり、枕を涙で濡らしたっけ。寂しさは、留学生活四年間ずっと傍にあって、自分は故郷が好きな人なんだなぁ、ということにも気付かされた。それでも四年暮らせば、ブリュッセルは私にとって第二の故郷になったけど。でも、自分は外国人なんだ、という感覚は拭えなかった。

 海外で暮らすと、旅行では見えないものがたくさん見えて来る。まず初めにわかることは、日本の良さである。なんて親切で、きめ細やかな国だったんだろう、と痛感させられる。今まで当たり前だったことが、外側から見ることによって、井戸の中の蛙だったんだと気付く。それから、日本の常識は世界の常識ではないということ。デッカイことではない。些細なことだ。例えばトイレットペーパーの取り付ける向きが逆だったり。言い出したらキリがないけど、いちいち細かいことにもびっくりさせられるのである。

 話がずれたけど、九月の試験までに私はいろんな方に親切にしていただき、ピアノを借りて試験曲の練習をしながら、パリの先生のところへレッスンに連れて行ってもらったり、現地の先生にご挨拶をしたり、もう入試に受かったかのようなふるまいをしていた。そして例の北京の彼も予定通り遊びに来て、私は二週間近く、素晴らしいヴァカンスを楽しんだのである。

« 六【一年目】 ベルギー到着 | トップページ | 八 北京の彼 »

ピアニストMama♪ 留学白書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/605244/65198736

この記事へのトラックバック一覧です: 七 入試まで:

« 六【一年目】 ベルギー到着 | トップページ | 八 北京の彼 »

フォト
無料ブログはココログ