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2017年4月24日 (月)

三 資金繰り

 私は音大に入った頃から、生徒にもピアノを少しずつ教え始めていた。まだ学生なので、授業と練習の合間に出張レッスンしたり。でも四年生の頃にはそこそこ生徒も増えていたので、自宅でも夕方レッスンしていたような気がする。しかしそれだけでは留学資金など、とうてい貯められそうにはなかったので、

(私は四年生の後、もう一年専攻科へ進んだのだが、両親はそこんとこの学費は出してくれない約束だったので滞納しながら自分で出していた。で、更にマイマネーでイタリア研修の費用と(半分は母が出してくれたような記憶がある。都合のいいことは忘れてしまう)例の北京の彼とヨリを戻すべく中国に追いかけてった費用をいっぺんに使ったので、もう持ち金が尽きていたのである)

 そんな訳で、今までのバイト先である楽しかったショットバーを辞め、仕方がないので、もっと時給の良いクラブで働くことにした。

 その頃、音大生たちがよく、ピアノを弾いたりして小遣い稼ぎをしていたナイトクラブ。時給千五百円につられ、私もちょっくらそこで弾いてみようと思いつき、面接へ行く。しかし都合よく毎日入れるほどの枠はなかった。ガックシ。

 クラブのママに事情を話し、どうにかして夏までに百万は貯めたいと相談する。
ママはなかなか話のわかる人であった。

「そうかい。それじゃあさ、貴女たぶん全然向いてないと思うんだけど、お金を貯めたいんだったら、社会勉強だと思ってホステスでもやってみるかい?」

 二つ返事でオッケーする私。この話、今までオフレコにしていてあんまり人には話してないんだけど、話すともれなく全員に大笑いされる。自分でも思うし、やってみても思ったけど、向いてないんである、ホステスなんて。

 いいですか、ホステスさんをバカにしているわけではありません。むしろ尊敬しています。どんな客とも楽しく話せて、社会情勢を知り、どんな話題にも対応できて、サッと気を利かせることのできる女性。わたしにゃ〜ムリである。タバコの火はつけられないわ、わかんない話には苦笑いするしかないわで、ただそこに居るだけの役立たずである。

 そのうち、夕方のレッスンが終わってから毎日三ヶ月間ビッシリ夜中まで働いて、日中はひたすら試験曲をさらい、留学の事務手続きに大使館まで走っていたら身体を壊して欠勤が続き、見事クビになった。いよいよピアノの練習が追いつかなくなってきた頃だったので、潮時だったのかもしれない。目標額の百万には至らなかったけど、まあ何とか貯まってきていたのでヨシとすることにした。

 そんなこんなで、カネがないところに、申請していた大学の留学基金もいただけることになり、半年だか一年だか、全職員に配られてしまう留学レポートとかいうのを書くことを条件に二十五万を手にして、いよいよ入試までのラストスパートに入る時期を迎えるのであった。

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