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2017年5月18日 (木)

五十一 得点発表

 結果は十一時発表と聞いていたのに、コンセルヴァトワールの廊下にはまだ何も張り出されていなかった。

 仕方がないので、ユキちゃんやアシスタントと一緒に、カフェでお茶をしながら待つ。結局、発表になったのは十二時半過ぎ。廊下にはたくさんの学生たちがいる。自分の名前と、点数を確認するために。

 そう、ヨーロッパでは、番号などではなく、学生の名前とその得点が、堂々と発表されるのである。日本ならこれを義務教育でやると、すかさず保護者やらPTAやらが出てきて、個人情報云々の大問題で、会議になっちゃうところだ、アホらしい。そして日本の音大でもそうすればいいのに。

 誰が、何点をとっていたのか、自分は一体どのくらいの位置にいて、どう評価されたのか。日本でも、はっきり発表するべきである。私は音大時代、それが学生たちに裏情報として流れてくるのが、とても嫌だった。音楽の点数など、スポーツと違って、誰の目から見ても明らかではない順位なのだし、審査員によっても違ってくるし、第一、音楽に得点などないと思っている。よって、その点数など、音楽においては気にすることはないが、一応試験である。その点数がつく以上、自分がどう評価されたか、というのは、今後の課題にもなるし、学生たちは各自、知っておくべきであると思う。

 私は恐る恐る、はやる気持ちを抑えながら掲示板を見た。そこには、私の名前と、その横に、「33」という数字が記載されていた。予想の三十一点よりも上回り、昨年の二十点台という最悪パターンからも逃れて、私は飛び上がった。嬉しい!得点は、四十点満点である。そして多分、後半六月の試験では六十点満点。二つの舞台が合算された得点で、プリが決まる。

 今年日本からやって来た、優秀な友人は三十五、ユキは三十二、五を取った。おめでとうみんな!しかし、私の隣には、納得のいかない顔をした友人、ユキが立っていた。しかしもう、決めるのはジュリー(審査員)なのだから、こればっかりは仕方がない。

 さあ、あとは六月の本番だ。その前に、和声の試験がある。頑張ろう。

 私は早速、アキカさんや東北の彼に電話を入れる。彼は、私の大喜びを横目に、「うん、良かったね。でも六月が終わったら褒めてあげるよ。」などとぬかす。このヒトはいつも、自分にも厳しくまた他人にも厳しい。いいよ、ふんだ。こうなったら、六月の試験で思い切り上手く弾いて、見返してやる。私はすぐに挑発に乗るので、わかりやすい。

 そして、日本の家族からもお祝いのファックスが入り、次の日は、日本へ帰ることを決めたアキカさんの家のお掃除を手伝い、猫のプーを友人宅に預けて、私とよっちゃんは、パックの休み(イースター)を利用して、パアッと、行き先不明の旅行に出かけるのであった。

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