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2017年5月27日 (土)

六十六 ニース、そしてブリュッセルへ

 彼女のアパートメントは、ニースのものすごい中心街にあった。

 今思えば、住所ひとつでよくぞ探し出せたと思う。人間は、世の中が便利になればなるほど、その能力が退化していくのかもしれない。でもまあ、探し当てたはいいが、彼女は残念ながら留守であった。私たちは、来たという証に、置き手紙を残してその場を去ろうとした。だが、帰ろうとしたその時、偶然エレベーターから降りてきたミキと遭遇するのである。まさにドラマ。

 彼女は私たちの姿を見て固まっていた。そしてやっと開いた口から、

 「な、なんで居るの?!来ないって言ってたのに〜!」

 と言って、ビビっていた。(そりゃそうだ。)

 友人、ミキは、一度ブリュッセルに遊びに来てくれた際に、猫のプーすけの口からネズミを取り出して庭に投げた前科のある彼女である。私たちはそして大笑いをして、水着を着てニースの海へと繰り出した。ここの日差しは強く、我々は真っ黒に日焼けをした。

 夕飯は、カフェのテラスでスープ・ド・ポワソンと、サラダ・ニソワーズ。これは頬っぺたが落ちるほど美味しかった。さっすがニース〜、と言う感じ。帰り道は迷わず、二時間半でサン・レミまで到着。途中、雷がすごかった。

 そしてまだまだ楽しい南仏の日々は続く。

 次の日は昨日行かれなかった、カシスの海へ。

 ここへは、港から小さい漁船で行くのだが、これがものすごかった。大波が来る時には、船長はエンジンを切ってそれを迎え撃つ。抵抗せず、素直に波に乗るのだ。それがもう、バッシャーン!とすごい迫力で、まるでウインドーサーフィンのよう。私は一人、キャーキャー騒いで皆に笑われた。

 船は穏やかなビーチまで付けてくれるのかと思いきや、海底が浅いところへは行かれず、ここで降りろと岩場の山あいで降ろされる。こういう、日本では考えられないことが、よく向こうでは起こった。相棒よっちゃんは、岩など物ともせず、ひょいひょいと登って行く。私はサンダルだったので、足場が悪く進めない。こうなったらハダシの方がマシであった。そしてついに力尽き、ここからもう泳いで行こうと言うことになる。

 よっちゃんは泳ぎもまた、上手かった。どこからでも平気で飛び込んで、バシャバシャと行ってしまう。私は泳げることは泳げるが、とてもじゃないけどはるか向こうの岸までたどり着くのなんてムリ。彼はシュノーケルを貸してくれて、コバルトブルーの海の中、魚たちが気持ちよさそうに泳いでいるのを見ることができ、感動したのを覚えている。

 余談だけど、私の好きになるタイプの男性たちは皆、スポーツができる。よっちゃんは何をやらせても上手かったし、東北の彼はテニスと波乗りにかけてはピカイチであった。何を隠そう、我が夫も、そうは見えないかもしれないが運動神経はとても良い。学生時代はバリバリの運動部員であった。だいたいにして、私は体育が大の苦手だったので、スポーツができる人は憧れである。まあ、脳みそにまで筋肉がついてそうな奴は、イヤだけど。まあいいとして。

 南仏の海には、あちこちにヌーディストビーチがある。来ている女性たちは、別にそのビーチじゃなくっても、けっこうな確率でトップレスになる。私も思い切って、やってみた。サイコーの開放感とはこのことである。楽しかったなあ。夜はホテルにあったピアノを弾かせてもらい、マダム、ムッシューたちも集まってきてワイワイやった。

 ここは本当にアットホームで素敵なホテルで、大きな庭でいただく食事も大変美味しかった。カルパッチョに、野菜の南仏風スープや、焼きナスのトマトソースがけ、フロマージュブロンに、ショコラショー。飼っていた大きな黒いワンちゃんもおとなしくて可愛かった。またぜひ行きたいホテルなのだが、名前を控えておくのを忘れてしまったのが残念である。

 私たちは一週間のヴァカンスを終え、楽しかった思い出を胸に、またブリュッセルの街へと戻ってきた。夏だというのに、やっぱりここは寒くて暗かった。

 ユキやしづちゃんたちにお土産を渡し、こちらにずっと居たであろう、しんみりした顔をしたユキと、土産話をする。そして預けていたプーすけと、感動の再会。七月下旬から帰国する予定の、日本行きのチケットを手配する。

 その直前、またもや私と東北の彼は喧嘩をし、初めて「別れる」というセリフが二人の間に出る。それは多分、帰国しても東北には絶対に来るなと言われてのことであると思う。怪しい。人のことなんて全然言えないが、怪しすぎる。

 とにかく、私は楽しいヨーロッパでの夏のヴァカンスを終えて、いよいよ日本での、長い夏休みを迎えるのである。東北の彼氏との別れを、目前に控えて。

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コメント

あれあれ?
あの時、突然来たんだっけ?
さすが日記をつけていると詳細を留めているからすごいわね。
とりあえずplageに行ったことしか覚えてないわcatface

覚えてないのー(笑)
日記を読まなくても、覚えてたよsmile
楽しかったな〜。

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