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2017年5月 3日 (水)

二十四 マヨルカ島の年越し

 一年目の冬は、先輩方も友人もとても気を遣ってくれて、スキーをしにスイスの山へ行かないかとか、モンサンミッシェルまで行かないかとか、色々と楽しいお誘いがあった。

 コンセルヴァトワールは、年間通して何かにつけ休みが入った。やれ、クリスマス休暇だ、パック(イースター)だと、しょっちゅうまとまった休みがあり、そして夏休みはたっぷり三ヶ月間もあった。だけど心から楽しめるのは夏のヴァカンスのみで、その他の休みは、それっとばかりにピアノの練習時間に使った。

 スイスの山も、モンサンミッシェルも、魅力的であったが、何しろ毎回で申し訳ないが私はお金がなかった身なので、断るしかなかった。後半、生徒も増えてゆき、心強い助っ人であるパートナーができてからは、陸続きのヨーロッパ各地をいろいろまわることができたが、留学一年目はそんな余裕はみじんもなかった。

 けれど二泊三日くらいの年越しなら、ちょうど安いチケットが取れそうだったし、スペイン旅行に行く友人たちと途中合流するのも悪くない。そう思ったか、例の北京の彼が、ちょっと無理してでもヨーロッパをまわってきなさいよ、と言ってくれたのかは定かではないが、多分どっちもだったような気がする。私は同級生たちに賛同の返事をし、その旅行を楽しみにしていた。

 同い年であり、ブリュッセル留学の先輩でもある、しづちゃん。それから、日本食レストランに働きに来ていた、年下のゆかりちゃん。その二人と、大晦日にマヨルカ島で合流した。二人はとても喜んでくれて、早速みんなでレストランを探しに行く。夜十一時をまわっていたが、とても美味しいレストランで、タコに生ハム、マスタードソースの肉やジャガイモ、それにシャンパンを楽しんだ。

 十二時前のカウントダウン。スペインの風習では、ブドウを十二粒、カウントダウンと共に食べる。そしてハッピーニューイヤー!店中の人々とキスし合い、広場では皆、踊り狂っていた。私たちも仲間入りして踊った。笑いがとまらないほど陽気なお祭り騒ぎ。日本の厳かな年越しとは全く違う。(その代わり、クリスマスが厳かであるのだ。)

 新年の幕開け、カテドラルのライトアップも美しく、本当にスペインに来て良かったと思ったのを覚えている。明るく天気の良い国ってほんとに、開放的な気持ちになれるもんだよね。二日目に続く。

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