« 四十四 また日本に帰りたい | トップページ | 四十六 お別れ »

2017年5月14日 (日)

四十五 日本の冬

 二度目に帰国する頃には、私もだいぶベルギーの方に馴染み、ブリティッシュエアライン乗り換え、ロンドンから乗って来る日本人の若者の多さと、その流行りの格好にウンザリしたり、実家に帰ってからの部屋の寒さに耐えられなかったりした。

(ベルギーは寒いけど、家の中はどこだって暖房が効いていて暖かいのだ。北海道もそうだけど。だから思い切り身体を暖房充電してから、寒い外に出ることができる。)

 帰国した次の日の朝は六時半に目覚め、部屋中の暖房をつけまくり、夕方から夜九時まで寝てしまって父に起こされたりと、時差ボケしまくりである。電話には、思わず「アロー(Hello)」とフランス語で出てしまいそうになるし。

 夜九時に起きてしまって眠れないので、仕方がないからバイト先のショットバーに行ってお土産を渡し、遅くまで飲んで帰ってきたりしていた。そこから東北の彼のところに電話をかけてもらい、みんなでワイワイ話すも、クリスマスに彼と会うことは出来なかった。一年目の仕事は、徹夜するくらいに忙しかったのである。残念。

 この冬の帰国中、彼と会うことはできなかったのだが、代わりに私はまた多くの友人たちと会って過ごした。今じゃあ考えられないほどの、日替わり友人メニューである。独身時代の、友達ネットワークには感心させられるものがある。高校時代のクラス会にも出席しているし、またもや、横浜国大のロシアで出会った彼らとも飲んでいる。

 でもそれだけではなく、おばあちゃんのお見舞いに茨城まで行ったり(この頃には祖母はかなり状態が悪く、母のもとから離れて、叔父のいる茨城の病院へ移っていた。)それから、大学で理事長にご挨拶したりしている。師匠のレッスンも受けた。

 私の一時帰国は矢のように過ぎた。そして、遅れて帰国したよっちゃんとも、初めて日本でデートしたりした。日本で一緒にいる感覚は不思議であったが、ベルギーに慣れてしまったことでの日本の居心地の悪さをぶつけ合い、共通の思いを抱いていたと思う。その時は。

 二週間とちょっとの冬休み帰国はあっという間に終わり、故郷に別れを告げて、私たちはベルギーへと戻った。半地下の部屋に到着すると、寒いのなんのって、ショファージュをつけてガタガタと震えていた。ユキちゃんに聞くところによると、この年末年始はマイナス十八度くらいになったそうで、今日は暖かい方だと言う。台所のオリーブ油も凍っているし、外のトイレは使えないし、暖房が効くのは、次の日までかかった。

 それでも私はすぐにまたブリュッセルでの生活に馴染み、猫のプーを預けていた友人宅に迎えに行き、三月の実技試験に向けて、相変わらず同じ生活を始めようとしていた。

 突然、東北の彼氏から 「またベルギーに遊びに行くよ。」
と連絡が入るまでは。

« 四十四 また日本に帰りたい | トップページ | 四十六 お別れ »

ピアニストMama♪ 留学白書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/605244/65278191

この記事へのトラックバック一覧です: 四十五 日本の冬:

« 四十四 また日本に帰りたい | トップページ | 四十六 お別れ »

フォト
無料ブログはココログ