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2017年5月15日 (月)

四十六 お別れ

 私が惚れる男たちというのは、今の夫含め、共通して大変クールである。そしてまた、ここぞというピンポイントだけ、実に気が利いて優しかったりする。よくやりがちな男性陣の、ちょっと違うんだよなァ…って女性の期待を外しちゃうようなコトは、ない。

 女は愛するより愛されよ、と言うけれど、それは私の場合、全く当てはまらない。何故ならすぐに飽きちゃうからである。言っておくけど、飽きたくて飽きるわけじゃないし、望んで次を選んでいるわけでもない。大好きな人だったのに、気付いたら他の人を好きになってしまっていたりして、そんな自分に本当は、嫌気がさしていたのである。だけど結果的にそうなっちゃうんだから、しょうがなかった。だから友人たちはみんな、カオルはとてもまともな結婚はできないだろうと思っていたようだし、まあこれを読んでもわかっていただけるかもしれないけど、私自身もそう思っていた。でも今の私はとびきり幸せな結婚生活を送っているわけだから、人生とはわからないものである。一番びっくりしてたのは、まわりの友人たちだったけど。

 とにかく、そのクールな東北の彼氏は、クリスマスは会えないと一点張りだったくせに、突然、ベルギーに遊びに行くと言いだした。そっちの彼氏は元気?なんてカマかけながら、確かめに来る気、満々である。

「二月にちょっと、大型連休が取れるんだ。どうやって過ごそうかなって思ってるところ。カオルが迷惑だったら中国にでも行くから、決めて。」

「会いたいの?」

「ホワイトビールを飲みに。アキカさんや大使館のお世話になった方たちに会いに。それから誰誰さんに、キスしに。」

 ちなみに、誰誰さんというのは私ではなく、当時私にモーションかけてきていた、今思い出しても許せん男の名前である。

 私は笑い、そして会いたくて、
「二月は私も休みだよ。来るなら言って。」

 と言ってしまった。

 さあ、大変である。どうしよう。ちょうどよっちゃんともその頃は喧嘩が多く、別れ話も出たりしていたものの、緊急事態である。ユキやアキカさんたちに相談すると、皆、口を揃えて

「カオル、愛の逃避行よ!」
 と言う。東北の彼を、ベルギー以外の国に誘い出せと言うのだ。まったく、女というのはずる賢い。

 でもそんなこと、頭のいい彼が納得するはずなどない。

 案の定、
「オレはベルギー以外は行く気ないから。」
 とかわされる。そりゃそうだ。

 もう、こうなったらやっぱりよっちゃんと別れるしかない。嫌いになったわけではない人と別れるのは、いつだって辛いもんである。だって私たちは、仲良く平和に過ごしていたわけだったんだから。もっとも、こんな私に耐えきれなくて、別れたかったのはあっちの方だったと思うけど。

 一部始終を笑って見ている友人一同と、優しいアキカさんは、
「まあ、新しい風はピアノがうまくいくと思う。その方がいいよ。」
 と言ってくれた。そして私は意を決し、彼と別れるのである。東北の彼氏を迎えるために。

 その頃、ブリュッセルでは別れブームで、友人ユキももれなく、付き合っていた彼氏と別れたりしていた。異国の地での別れ。ましてや試験前。その不安さは、ハンパない。

 そんな私のグラついた心を支えるかのようなタイミングで、東北の彼からの誕生日プレゼントは届くのである。

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