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2017年6月14日 (水)

九十二 リハーサル

 リハーサルは、まず初めに、大曲であるコンチェルトから行われた。

 学生たちは張り切って臨んだ。これは、早々に五月上旬に行われたので、まだまだ出来上がりはこれから、というところだ。私は軽めのモーツァルトだが、皆、ラヴェルやラフマニノフなど、難曲にチャレンジしていた。すごいなあ。ラヴェルのコンチェルトは大好きだったので、もしも私が五年目も残っていたら、ぜひやりたい曲ではあった。二楽章の旋律は素敵だったし、フルートが入ってくるところなんてもう、聴くだけで泣けてくる。アンリオ先生もお得意の、憧れの曲であった。

 さて、本番直前のリハは、六月二十五日。一週間前を、切っていた。

 その日は夜七時から始まり、コンセルヴァトワールのホールにて行われる。

 私は最後から二番目に弾いたので、すでに十時近くになっており、体力は限界で、弾き始める前から疲れてフラフラしていた。こりゃあ、うまくは弾けないな。仕方ない。何とか、弾くだけでもいいや。と思いながら舞台にあがり、モーツァルトのコンチェルトから弾き始めた。ああ、あんまりいい出来ではないかもしれないな…とぼんやり思いながら弾き終え、コルニル先生の方をふと見た。

「ブラボー、カオル!」

 と先生は、ステージの私に向かって言った。

 え?今、先生は何て言った?

 私は、キツネにつままれた感じだった。

 が、先生は、パーフェクトだから、そのまま動かすな、わかったか。と一言おっしゃい、そのまま次の学生へと移った。

 聴いてくれていたユキや、アシスタントたちも、「とっても綺麗で、モーツァルト!って感じ。良かったよ!」と言ってくれる。

 そうか…?あんまり、気負わない方がいいのか。私は疲れていたので、完全に力が抜けていたし、それがかえって幸いしたのかもしれない。このホールの響き、音色…何となく、わかったかもしれない。奈良先生にも一度、私にはコンセルヴァトワールのホールの響きは合っているんじゃないか、と言われたことがあるのを思い出した。どうしたら音を遠くまで、綺麗に飛ばすことができるか。研究してみよう。

 そんなことを考えながら、試験日三日前の、学生たちで予約したリハーサルの日も迎えるのである。

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