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2017年7月11日 (火)

百二十 イタリアへ

 イタリア入りの前夜。私はオリビエ一家を招いて、リハーサルかねて、部屋でミニコンサートを開いた。

 一次予選の、ラフマニノフのエチュードと、スクリャービンの小品、二次予選のモーツァルトのソナタだけをとりあえず聴いてもらう。間に、みんなで軽くお茶をして、たくさんお喋りをして、とても楽しかった。その時、エヴァが日本に来たがっていることを知る。私は歓迎し、コンクールが終わったらみんなで食事をしようと話した。いい夕べであった。

 九月七日、八時起床。フランス語教室へ行くよっちゃんに、行ってきますと告げて、いざ、イタリアバルセシアへ出発した。

 飛行機はvirgin。意外にも定刻通りに飛び、到着時刻ジャストにミラノに着いたので驚いた。しかも、その次の乗り継ぎも良く、十四時二十分発の電車に飛び乗る。次の乗り換えにも、五分の待ち時間でスムーズに済んだ。VARALLO行きは汽車で、ポーッと言いながら黒いススが入ってくる。ローカルな路線である。イタリアはいいなあ。なんて呑気に思っていたのも束の間、VARALLOに着いてからは、物珍しそうな、まるで異星人でも見るかのような人々の目に驚いた。ここには外国人などめったにこないらしく、小さな町の善良な市民は、イタリア語以外は絶対に喋らないと決め込んだかのようであった。

 私の泊まったホテルはとても良いところで、フランス語も通じるマダムも居て、快適であった。バルセシアはとてもいい天気である。山あいなので朝晩は冷えるが、日中は日差しが強く、とても暑い。歩いて会場まで行ってみたが、けっこう遠かった。置いてあったピアノはカワイで、一人十分間、交代で触らせてもらう。とても良く響くピアノで、皆、とびきりのテクニックでガンガンに弾きまくっていたが、私は音が綺麗に響けばいいな、と思う。うまく弾けますように。

 練習は二時間半、飛び飛びに、学校の校舎のようなところで、アップライトの、えらく響く教室で行われたので、隣の音と混じってすごいことになった。

 私はロシア人の、二十五才のアリッサという女の子と友達になった。とても可愛い、性格のいい子で、私たちは英語で何とか会話しながら、食事をした。彼女は初めてのコンクールだと言って、緊張していた。偶然、私の日本の大学で非常勤講師をやっているというマツオカさんとも出会い、ポーランド人の男の子とも知り合い、一緒に行動することになる。こういうところに来ると、友達がたくさんできて楽しい。

 そして、明日はいよいよコンクール一次予選の本番となる。

 どうか、悔いのない演奏ができますように。私は祈りながら、眠りに落ちた。

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